豪雨で行方不明だった女性、6年ぶりに発見 [147827849]

全国で９８人の死者・行方不明者を出した平成２３年９月の紀伊半島豪雨からまもなく６年。
１４人が死亡、１０人が行方不明となっていた奈良県では今年６月、行方不明だった同県五條市大塔町の中西麻紀代さん
＝当時（３７）＝の遺体が、自宅から約２０キロ離れた同県十津川村のダム湖で見つかった。
５年で捜索打ち切りとなった中での“奇跡”の発見は、今も家族の帰りを待つ人の胸に小さな希望の火をともした。

　関係者によると、中西さんは当時、同市大塔町宇井地区で両親と暮らしていた。
郷土料理を提供する「大塔郷土館」（同町）に勤務し、料理の配膳（はいぜん）など、接客を担当していたという。
同僚だった丸山久代さん（７１）は、「お客さんにとても丁寧に接していて、明るくて優しい人だった」と振り返る。

　２３年９月４日早朝。大規模な土砂崩れが宇井地区を襲い、中西さん家族は集落の家々とともに、一瞬で土砂に押し流された。
両親は助かったが中西さんを含め地区では４人が行方不明に。何の手がかりもないまま、５年が過ぎた。

　発見は偶然だった。
今年６月３０日、宇井地区から約２０キロ下流の十津川村の風屋ダムで、流木の引き上げ作業をしていた男性が、遺体の一部が
浮かんでいるのを発見、通報した。約３週間後、ＤＮＡ鑑定で中西さんと判明。２３年１０月以来となる行方不明者の発見だった。

　五條市によると、当時風屋ダムでは、補修と点検のために水を抜いて水位を下げ、新しい水をダムに流し入れていた。
作業により湖底にたまった泥が洗われ、泥に埋まっていた遺体が水面に浮かび上がったとみられている。

　風屋ダムでは過去にも捜索が行われたが、水を抜いたことはなかったという。
奈良県警幹部は「年月がたっているのに、遺体は奇跡的に状態がよかった。
湖底は夏でも水温２、３度と低い。おそらく“半分冷凍”のような状態に保たれたため、あの状態で残っていたのだろう」と推測する。

　捜索継続の道も

　県内の行方不明者は９人。
同市は昨年、５年をひとつの区切りとして、毎夏に同市と十津川村で行ってきた行方不明者の一斉捜索を、６年目以降は打ち切ると
決定していた。だが中西さん発見を受け、同市の山本修二・危機管理監は、「行方不明者をご家族の元へ帰してあげたい。可能性が
あるのなら捜索を続けたい」と継続の道を探る。

　また、十津川村南部の二津野ダムでは今年１２月ごろから、風屋ダムと同様に水を抜いての改修工事を予定しており、同村は
ダム内での行方不明者の捜索を計画している。

　６年前の豪雨でおい＝当時（３３）＝と、おいの１歳と４歳の子供が行方不明となった同村の無職、後木（うしろぎ）隼一さん（８４）は、
「体の一部でも見つかってほしいといつも願ってきた。まだ望みを捨てなくてもいいのだと思った」と話した。

https://news.infoseek.co.jp/topics/sankein_wst1709020029