地蔵 [192973851]

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広島）「被爆地蔵」描く　元銀行員のアマチュア画家
https://www.asahi.com/articles/ASL9T5F9BL9TPITB00Q.html

　広島市安芸区のアマチュア画家、藤登弘郎（ふじとひろお）さん（８２）が、広島市内に残る「被爆地蔵」を描き続けている。人々の暮らしに深く根差してきた地蔵たち。傷を負い、佇（たたず）むそれぞれの表情を伝え残したいという。画集にまとめ、来年自費出版する。

　元銀行員の藤登さんは定年退職後、趣味で水彩画を始めた。熱線と爆風に耐えた被爆建物が次々と取り壊され、原爆投下日時を知らない子が増え続ける中、「原爆の悲惨さを伝えなければ」と、被爆建物や被爆樹木を描くようになった。

　９歳の夏、故郷の安浦町（現・呉市）で終戦を迎えた。爆心地の惨状は直接知らないが、親戚を捜して入市被爆した兄が「あれは地獄じゃった」と語ったのを鮮明に覚えているという。

　昨年春、広島市中心部を散歩中に立ち寄った寺で、被爆地蔵の写真集に出会った。

　被爆建物（２０１０年）、被爆樹木（１４年）、慰霊碑（１６年）と画集を出版し、続くテーマを模索していた頃。被爆地蔵の多くは寺の敷地内にあり、目にする人が限られている上に、資料を探しても多くはなかった。あまり知られていない存在だと思った。

　首から下しかないお地蔵さん。全身傷だらけのお地蔵さん。原爆で犠牲になった人や原爆で傷ついた人、大事に守ってきた人たち…色んな人の思いを体現している存在に見えた。「お地蔵さんは人間と同じ顔を持っている」

　刻まれた碑文などは解読できないものも。風化し、存在が忘れられる前に、描き残したかった。「顔の表情や、傷ついた部分を丁寧に表現したい」。鉛筆で描き、一部黒鉛筆を使って線を強調。その後、水彩で淡く色づけをする。

　爆心地から１・５キロ以内で被爆した３８の地蔵を描く。一部、郊外に移されたものもあるという。７割方を描き終え、来年２月の出版を目指す。藤登さんは言う。「人間と似ているだけに、むごいとも思った。でも描く。若い人に原爆の悲劇を伝えたいから」（宮崎園子）

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