Facebook松「銀行の対応が悪かったから預金6億あったけど全額引き出したったw そしたら頭取がウチまで頭下げに来たwww」 [483468671]

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私、勝ち目のない喧嘩（けんか）をしようと思います」。２０１８年８月３０日、フェイスブックにこんなメッセージが掲載された。

　投稿したのは鳥取県日南町の増原聡町長（当時６２歳、故人）。「喧嘩」の相手は同県内に本店がある唯一の地方銀行、鳥取銀行だという。増原氏は５・６億円の町の預金を別の金融機関に移すと宣言した。

　２日前、鳥取銀の取締役が町長室を訪ねた。示された紙には、町内にある生山（しょうやま）支店を１９年１月に閉鎖し、現金自動出入機（ＡＴＭ）を残して、約２０キロ離れた隣町の支店と統合する方針が書かれていた。

　増原氏は説明を求めたが、取締役は「総合的判断」としか答えなかったという。増原氏は「それなら町のお金はすべて引き揚げる」と言ったが返事は変わらなかった。

　日南町の人口は４６００人でピーク時の約３割。６５歳以上の高齢者が半数超で、人口減と高齢化が続いている。鳥取銀のような地銀は人口減に加え、日本銀行のマイナス金利政策で収益が先細りだ。減益が続き、各地に支店を構えるコストは重荷だ。

　増原氏も鳥取銀の苦境は理解しつつ、地元を支える「同志」だとも思っていた。一方的な閉鎖では町民への説明がつかない。「もう一度、地銀のありようを考えてほしい」。フェイスブックに思いをぶつけた。

　その言葉がメディアで報じられると、鳥取銀の平井耕司頭取が町長室を訪ねた。増原氏は閉鎖の撤回は求めず、高齢者を支える取り組みだけを要請した。

　そして平井氏にこう頼んだ。「県内の隅々まで支店を置けとは言わない。でも、隅々まで目を配るのが地銀の役割でしょう」。平井氏は「配慮が足りなかった」と要請を受け入れた。町と銀行との間で対応策の検討が始まった。

　その矢先の昨年１１月３日、増原氏は病に倒れ急逝した。中村英明副町長（６３）が後継町長となり、鳥取銀との話し合いを続けた。
同行は今年１月、生山支店を閉鎖したが、統合先の隣町の支店の人員を４人から８人に倍増した。広報担当者は「できる限りのサービス維持に力を入れていく」。

　生山支店の近くの会社社長（６９）は定期預金の口座を解約し、別の金融機関に移した。「不便にはなるが、町の人口も減っており、仕方がないと受け止めている」。町などによると、ＪＡバンクにお金を移した地元企業も多いという。

　鳥取銀はＡＴＭの使い方を説明したパンフレットを配り、職員がＡＴＭに出向いて直接、教えることもあるという。
町内のＪＡバンクのＡＴＭが手数料無料で使えることも周知させている。中村町長は言う。「増原さんが鳥取銀を動かさなかったら、多くの高齢者が見捨てられたかもしれない。『勝ち目がない』と言ったが、勝ったのだと思う」（山口博敬）

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