最高におもしろい漫画が発見される [736698877]

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アマゾンレビューより

☆1のレビューに「植芝理一みたいなものだと勝手に思っていた」というものがあります。
これはある意味その通りで、そのトーンレスで手書き感を意識した？描線とでもいいますか、丁寧な書き込みには近しいものがあるかと思います。
でも、この方は☆1なんですよ。何故なのかわかりますか？書きたいものが違うからです。

植芝理一はSF的な要素はちりばめながらもそれを通じて結局は人の関係性を描く作家です。
その個性もさることながら、商業的な技法を多く織り込み、読み易く伝わりやすい物語だと思います。
対して詩野うらは人そのものへの興味が薄いのではないでしょうか。
ほとんどの作品には「時間」や「認識」が大きく関わっており、それら―時間、認識、文化や文明、
（しばしば大切な）思い出―という「確かにあるものだけれど自分が思っているその通りを人に伝えられない・全くの形で共有しがたい」存在について、
作中で様々な試行・仮定を行いながらそれらがもたらす主観的な心の動きを読者に伝えようとされているように思えます。
時間が幾つも分岐したとき、その一つにいる自分はどういう気分だろうか？
もしかしたら、時間の分岐を自覚した時点で人を殺す等の禁忌を犯しに行く自分がいるかもしれない。そういうのは全くないとは言えないですよね。
もし人間とは離れた存在となったとき、その世界の認識も今と同じでいられるでしょうか？
そういうところのありえないけど理解できなくはないラインを突いてくるので、
怖いとも嫌悪とも違うモヤモヤが残るところが少し商業漫画的な側面で言えば読みづらさにつながるのではないかと思います。
しかし、そういった試行の末を描こうとされているのをSFと呼ぶことに相違はないはずです。どうでしょうか。

「有害無罪玩具」で知られる詩野うらの作品集第2弾「偽史山人伝」
https://natalie.mu/comic/news/343322