読売「外国を叩き、愛国心を煽る政治はろくでもない。プーチン大統領には気づいてほしい」 [533895477]

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プーチン大統領　強権統治の弊害は隠せない

政権に反対する勢力を弾圧する。欧米との対決姿勢を強調して国民の愛国心を煽り、求心力を高める。ロシアのプーチン大統領は、強権統治をいつまで続けるのか。
ロシアで統一地方選が行われた。１６の首長選全てで与党系候補が勝利し、モスクワ市議選でも過半数を確保した。

選挙前、プーチン氏と与党の支持率は低下し、大規模な抗議デモが各地で起きた。
政権側が圧勝したのは、苦戦が伝えられた地域のてこ入れに加え、反体制派の活動家が書類の不備などを理由に選挙から排除されたためだ。
これでは、政権与党が信任を得たとは言い難い。モスクワ市議選では与党系候補が批判票を恐れて全員、無所属で出馬した。

プーチン氏は首相時代を含めて２０年間、権力の座にある。議会や裁判所、メディアを統制し、独裁色を強めてきた。
２０２４年５月に任期が切れた後も実権を握る構想を描く。政敵や批判勢力を抑え込む戦術に変化はない。

長期政権に対する国民の閉塞へいそく感は強まっている。民主主義の名を借りた強権政治を続けていては、抗議活動は収まらず、社会の不安定化を招くのではないか。
経済は欧米の制裁により苦境が続く。ロシアが１４年にウクライナ南部クリミアを併合したのが発端だ。プーチン氏が対外的な強硬姿勢を維持する限り、状況の改善は期待出来ないだろう。

(中略)

国際的な孤立が深まる中、ロシアは中国との安全保障協力を進めている。「力による現状変更」を正当化する中露の連携を警戒する必要がある。
ロシアが欧米との関係を修復し、制裁解除を得るには、ウクライナとの緊張緩和が不可欠だ。両国が今月、互いに拘束していた民間人や軍人らを帰国させたのは、その一歩となろう。
プーチン氏に国際社会との協調を促すためにも、ロシアとウクライナに仲介役の独仏を含めた４者の首脳会談を早期に実現しなければならない。

https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20190916-OYT1T50189/