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「花まゆ」無限の可能性　繭を素材に草花表現　富岡製糸場で展覧会
　繭を素材に草花を表現する「花まゆ」の展覧会が、世界文化遺産の富岡製糸場東置繭所（ひがしおきまゆじょ）で開かれている。
製糸場の遺産登録五周年を記念し、昨年九月から始まった展覧会の第三弾。繭とは思えないような色鮮やかで繊細な約五十点の作品が並び、新しい芸術の可能性が伝わってくる。二十九日まで。　（市川勘太郎）

　花まゆは、生糸を取ることができない「揚（あが）り繭」と呼ばれるくず繭を使って制作する。一九八八年、造花を手掛けていた名古屋市の酒井登巳子（とみこ）さん（７２）が考案した。現在は群馬県産の繭を使い、さまざまな種類の花を素材を生かして表現している。

　作品は国内だけではなく、海外でも高い評価を得ている。二〇一八年十一月には、絹織物で有名なフランス・リヨンの商工会議所で開かれた絹市「シルク・イン・リヨン」に出品。好評を博し、現地メディアからも注目を集めた。

　昨年九～十月の第一弾は「絹が結ぶ縁」をテーマにリヨンで出品した作品を展示。同十二月～今年一月の第二弾では、お正月の迎え花やひな祭りなど日本の暮らしを彩る四季折々の花飾りを集めた。

　第三弾となる今回は「未来・無限」をテーマにした。ファッションデザイナーの桂由美さんがパリコレクションに参加した際、ドレスに合わせて作った花まゆの髪飾りやイヤリングなどを展示。滋賀県の絹織物「浜ちりめん」の反物に花まゆの藤の花を合わせた作品などが並ぶ。

　酒井さんは「絹文化は奥が深く挑戦の心は尽きない。展示作品からインテリアやファッションにも使えるという花まゆ無限の可能性に気付いてもらえたら」と話している。

　午前九時～午後五時まで。展覧会は無料だが、製糸場の見学料が必要。大人千円、高校・大学生二百五十円、小中学生百五十円。問い合わせは製糸場＝電０２７４（６４）０００５＝へ。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/202003/CK2020030302000167.html