記念硬貨って店で使ってもええの？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？ [434684981]

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https://digital.asahi.com/articles/ASN614CY9N5TULBJ001.html

メイド・イン・ジャパン　世界に先駆けたランダムの極意

乱数の世界へようこそ?
　数値シミュレーションや暗号への応用が広がる乱数。だが、それが戦後日本の高度成長を支えたという歴史もあった。

　今でこそ日本の工業製品の品質の高さは知られているが、第2次大戦直後、この国には「安かろう悪かろう」という粗悪な工業製品があふれていた。不良品を減らして産業競争力を高めることが国家的な課題とされ、生産現場での抜き取り検査が重視された。

　でたらめに、まんべんなく抜き取りをしないと、不良率推定の精度が悪くなり、間違った生産改善をしてしまう危険性がある。

　そこで活躍したのが乱数だ。

　1956年、乱数の日本工業規格（JIS規格、現日本産業規格）ができた。現在の規格は、「良い疑似乱数」をつくるコンピュータープログラムの規定が中心だが、当時は主役は乱数表。40枚、計8万の乱数が記された。

　東京都立川市にある統計数理研究所所長の椿広計（つばきひろえ）（63）はいう。

　「抜き取り検査の規格は他国にもありましたが、乱数や乱数表は規格化されていませんでした。日本の規格は世界に先駆けたものだったのです」

　乱数表の正しい使い方も規格化された。

　「目をつぶって鉛筆を立てて落とし、当たった点に一番近い数字を起点として連続3個の数字を読み……」

　これは、現在のJIS規格にも残る乱数表の使い方だ。こうしてでたらめな数字を決め、それを元に抜き取り検査をする光景が多くの生産現場で見られたという。
　「工場の現場の人が持つ手帳には、乱数表があらかじめ記入されていたと思います。偶然とはいえない何かを、その乱数表を使って見つける。日本はこういう統計的な活動がものすごくよかったから、メイド・イン・ジャパンがブランド化したんです」と椿。

　でたらめな抜き取りは「無作為抽出」と呼ばれる。世論調査でも重視されており、新薬の効果を見る試験でも広く使われる。

　統計数理研究所の地下に展示室がある。名誉教授の田村義保（たむらよしやす）（67）に案内してもらった。放射性物質の崩壊や、電気回路に発生する雑音を利用した物理乱数発生装置などが展示されている。

　そんななかから田村が面白いものを見せてくれた。

　1円玉に似た古い硬貨だ。塗料で数字が書いてあり、袋の中にたくさん入っている。

　「乱数表はかつて、この袋から硬貨を何度も取り出してつくっていたようです」

　JIS規格の開発・普及をする日本規格協会の名が入る正二十面体のサイコロも見せてもらった。8年前まで3500円で販売されていたもので、偏りのない乱数が得られるように工夫されている。

　これらを見ると、私たちがいかにでたらめを大切にし、つくろうとしていたかがわかる。
　長年、乱数研究を続けている田村に「でたらめ（ランダム）って何ですか」と尋ねてみた。

　「それは自然の本質です」。そんな答えがすぐに返ってきた。

　それらを理解・応用するのに乱数が使われる。私たちとでたらめの間の絆は、実は深いのだ。