猫エサを買いに行くからカリカリと缶詰どっち買えば良いか教えろ [858317684]

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日陰者だったコロナウイルス　「研究やめずによかった」

コロナウイルスの研究者は、国内に多くはいない。そのうちの一人、東京農工大の水谷哲也教授（55）が「新型コロナウイルス　脅威を制する正しい知識」（東京化学同人、税抜き1200円）を出版した。マイナーだったコロナウイルスは、いまや超有名なウイルスとなった。「コロナを研究し続けてよかった」と語る研究者が、コロナウイルスの正体を暴く。

　1990年代ごろ、コロナウイルスの研究室は国内で三つぐらいしかなかった。学会では、インフルエンザウイルスやヒト免疫不全ウイルス（HIV）などメジャーなウイルスの陰に隠れた「その他のウイルス」扱いで、「他のウイルスがうらやましかった」。

　大学は獣医学部で、マウスで肝炎を起こすコロナウイルスについて研究していた。非常に感染力が高く、実験用のマウス1匹が感染すると、全てのマウスが簡単に感染してしまうほど。建物を丸ごと消毒する必要があるやっかいなタイプだった。

　コロナウイルスは猫伝染性腹膜炎や豚流行性下痢など、どちらかというとヒト以外の動物で感染するウイルスとして有名だった。

　ヒトの場合、風邪をひいたら大体ライノウイルスかコロナウイルス、インフルエンザウイルスに感染している。一方でヒトに感染するコロナウイルスは、死亡することは考えられないくらい「単なる風邪のウイルス」で、研究対象になりにくかった。

SARSのお陰で
　コロナウイルスがヒトで有名になったのは、2002年にヒトで流行したSARS（重症急性呼吸器症候群）だった。突然、重症化しやすいコロナウイルスが現れた。

　03年から、国立感染症研究所で約5年間SARSの研究に取り組んだ。実は、「SARSのワクチン候補となる抗原は結構簡単にできた」と明かす。SARSは03年に終息したため、ワクチンの開発には至らなかったが、次の感染症に備えて、未知のウイルスを検出する方法を開発した。

　いまはブタのコロナウイルス科の変異に関する研究をしている。どうやって変異するのかがわかれば、未来に出現するウイルスを予測できる可能性を秘めている。

　実は、研究を始めた当初はウイルスに興味がなく、「何度も昆虫や魚の研究に変えようと思った」。昆虫や魚の研究も捨てがたく、琥珀（こはく）の中の昆虫からDNAを抽出して解析したり、ウナギの血管内皮壊死（えし）症を起こすウイルスを発見したりした。

　著書には、「次の感染症に向けて活躍してもらう中高生にも理解してもらいたい」と、イラストやコラムを交えた。コロナウイルスの祖先がいつごろ地球上に現れたのか、新型コロナとSARSやMERS（中東呼吸器症候群）は何が違うのかといったウイルスの特性だけでなく、治療薬の候補や開発が急がれているワクチンの話も盛り込んでいる。「コロナウイルスと正しく付き合うために、コロナの本質を知ってもらいたい」