古内東子 [372225354]

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福島）小高の旧スーパー、おそうざいの店として再出発

震災と原発事故後、営業を休止していた南相馬市小高区のスーパーマーケットが、新たに総菜店として再出発した。名物のおはぎも復活し、帰還した人たちを中心に買い物客でにぎわう。店を切り盛りする女性は「震災前と変わらない味で、小高に戻りたいと思ってくれる人を増やしたい」と意気込む。

　小高区の中心部で１３日に営業を始めたのは、「おはぎとおそうざい　ふるうちの台所」。かつて「食品スーパーふるうち」として地域の人々に愛された店だ。

　初日、開店を待ちかねた客たちが次々と店内に入り、お目当てのあんこやずんだのおはぎを買い求めた。たまねぎとベーコンたっぷりのナポリタンスパゲティ、切り昆布やさつま揚げが入った五目煮、マカロニサラダも棚に並び、人気を集めた。

　２年前に帰還した阿部陽子さん（６７）はスーパー時代からの常連。「帰還した方たちの中には一人暮らし、夫婦だけという方たちもいる。おいしい総菜の店が身近なところにあるのは、日々の暮らしの安心につながる」と歓迎していた。

　店を運営する古内慶子さん（６７）の話では、店は大正時代に創業し、当時は食料品や雑貨を扱っていた。昭和４０年代、スーパーに転換。おはぎは原町区や富岡町から買い求める客がいるほどの人気で、多い日は約４００個売れたという。

　原発事故で店は休業を余儀なくされ、古内さんも避難を強いられた。小高の行く末を案じ続けた避難生活。２年前、長年、介護していた母親が他界した。慶子さんは母の死を機に自分の暮らしを見つめ直し、「もう一度、小高の町でお店を切り盛りしたい」と考えるようになった。

　その思いを聞いた長男の和彦さん（４２）も「小高の人たちが気軽に立ち寄れるコミュニティーのような店にし、小高の再生に貢献しよう」と決意。勤め先だった市内の工務店を辞め、慶子さんと店の再開の準備を進めてきた。

　かつて一緒に働いていた従業員２人の計４人で店を運営する。開店の日を１３日としたのは「お盆で小高に戻ってくる人たちにも味わってもらいたい」（和彦さん）との思いからだ。

　小高区に住む人は７月末現在で約３６００人と震災前の３割ほど。慶子さん、和彦さんは当面、現在暮らす原町区から通うが、二人ともいずれ小高に戻るつもりだ。