秋田県のイメージ [785228914]

https://img.5ch.net/ico/gikoinu.gif
https://mainichi.jp/articles/20190912/dde/014/040/011000c

「秋を詠った詩歌切」　季節感じる美しさ

「秋を詠った詩歌切」（１０月６日まで、東京国立博物館本館３室）は、秋の訪れを書を通じて感じられる好企画だ。担当した同館の恵美千鶴子さんに解説してもらった。

　伝藤原行成筆「敦忠集切」＝写真［１］＝は藍と紫の飛び雲をすき、全体に雲母砂子（きらすなご）をまいた料紙に丸みを帯びた文字が連ねられている。墨の濃淡の調子もみどころ。もともとは冊子本で、藤原定家が所持していたために上部に「勅」の書き込みが残されている益田家旧蔵の名品。

　伝藤原佐理筆「古今和歌集巻第四巻首（筋切）」＝同［２］＝は藍と紫の飛び雲をすき金銀の揉（も）み箔（はく）を全体にまいて、さらに銀泥の線を引いた料紙に、「秋来と　めにはさやかに……」が記されている。藤原佐理筆と伝えられてきたが、現在では藤原行成の曽孫定実の自筆と推定されているという。

　伝藤原行成筆「和漢朗詠集巻上（久松切）」は、藍と紫の飛び雲をすきこみ、金銀の砂子をまいた料紙に、『和漢朗詠集』巻上・秋の「鹿」「露」が記された断簡。世尊寺流の特徴があり、ゆったりとした運筆がみえる。

　ほか、「和漢朗詠集切」▽「和漢朗詠集切（雲紙本）」▽「新古今和歌集切」を合わせた６点が並べられている。

　季節感というのは、日本の美の世界に脈々と流れ、大切に考えられてきたものに違いない。こういう企画が現代でも続けられるのもその証左と言えるだろう。秋の訪れについて、当時の貴族たちがどんなふうに受け止めたのだろうか、と考えながら筆の豊かな流れを眺めてみれば、現代の厳しい残暑を、ほんの少し忘れる契機となるかもしれない。

　一方、第６９回玄遠社書展（１６日まで、大阪市立美術館地下展覧会室）は今回も企画性を発揮した作品が並んでいる。

　令和元号記念１０人展には小伏竹村さん「無我」▽小林琴水さん「山色健」＝同［３］▽小伏小扇さん「試墨」▽飯田春香さん「雲」▽崎井恵風さん「大樹」▽稲垣小燕さん「阿修羅」▽石田春窓さん「無邊」▽水野春翠さん「愚直」▽高田春来さん「発潭州」▽前田龍雲さん「吟風」と中核書人１０人が新時代へのさまざまな思いに挑んでいる。

　日韓交流書芸代表作品のコーナーも継続していて、国際交流への強い意識も衰えていない。