結婚できなかったときには一緒になろうと約束　スタンフォード大学で始まった「結婚協定」 [895142347]

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マッチングのカギは、「無限の選択」ではなく「50の質問」

スタンフォード大学の2人の学生は、あることを思いついた。

将来、もしも結婚相手が見つからなかった時のための「バックアップ」があったらどうか、と。

米ドラマ『フレンズ』のレイチェルとロスは、40歳になるまでにどちらも結婚していなければ結婚しようと約束していたが、まさにそんな感じだと、米メディア「ヴォックス」は報じる。

その名も「結婚協定」。

2017年、スタンフォード大学に在学していたリアム・マクレガーとソフィア・スターリング・アンガスは、経済学のクラスで「マーケット・デザイン（市場設計）」を受講していた際に、この「結婚協定」のアイデアを思いついたという。

いかにして、結婚という市場を設計するか。

当時の出会いのマッチング設計は、ティンダーをはじめ、ユーザーにほぼ無限の選択肢を与えて、永遠に選ばせる（スワイプさせる）ものが多かった。

それは、ユーザーのアプリ使用時間を伸ばすという意味では成功していたが、長期的なパートナーを見つけられる可能性という意味では成功に結びつきにくいものだったと、マクレガーは米メディア「NPR」に語っている。

そこで2人が着目したのは「選択のパラドックス」だった。選択肢が多すぎると人の意思決定が麻痺するため、よりマッチ度の高い人だけをユーザーに提示し、ユーザーに意思決定を促す方法を模索した。

「結婚協定」におけるマッチングのカギは、「50の質問」だ。外見（写真）や身長や趣味などの表層的な情報ではないという。

質問の多くは数字や「はい」か「いいえ」で答えられるもので、その答えのマッチ度が高い人が提示される。マッチした2人には、「あなたと〇〇さんのマッチ度は90％です」といったメールが届く仕組みになっているそうだ。

「50の質問」の内容は、以下のようなものだ。

・子供は何人欲しいですか？
・周りの人よりもお金を多く稼ぐことは、あなたにとって重要ですか？
・あなたは自分のことを周りの人より賢いと思いますか？
・自分の子供が同性愛者であることに、抵抗はないですか？
・あなたの性癖はどのくらいキンキー（風変わりな）ですか？

どれも「一歩踏み込んだもの」で、各々の家族観や政治観から宗教観、セックス観まで多岐にわたる。これらの質問を考案したマクレガーは、「あくまでも長期的なパートナー探しを意識し」、「なるべく嘘をつきにくい質問にした」と、語っている。

実験を開始するにあたり、最初の被験者となったスタンフォード大学の学生らには、こう宣伝したという。

「きっと、今の（若い）あなたたちは、人生のパートナー探しに焦ってはいないでしょう。自然に出会えたら……と考えているかもしれません。しかし、そんなあなたも、これから何年後かには、手に入りそうだった人たちが、他の誰かと一緒になっていく様子を目撃することになるかもしれません。

そうなった時に見つけるべきは、運命の人ではありません。（長期的に一緒にいられる可能性の高い）最後まで残っている人です」

つまり、大学時代に価値観のマッチ度の高かった人こそが、結婚したくなった時に真っ先に見つけるべき人だと、彼らは主張する。

例外ももちろんあるが、同じ大学に通っているという共通点は、多くの場合に置いて、お互いの社会的・経済的・教育的地位が似ており、長期的なパートナーシップを築く上で吉となる傾向が強い、とも言っている。

翌18年にはスタンフォード大学で約4600人が参加。「結婚協定」の噂は、「初期のフェイスブックのように」口コミであっという間に他校にも広がった。現在はイェール、コーネル、コロンビア、バージニア、デューク大学などでも行われている。

https://courrier.jp/news/archives/237721/

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