あーさーくーらー [454357306]

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（街のＢ級言葉図鑑）南柯眺臺

■どうやらダジャレらしい

　東京都台東区の蔵前駅近くにある鳥越神社。千数百年の歴史を誇る古社です。私を含め、散歩の途中に立ち寄る人々も多くいます。

　その一角、社務所の入り口に立派な額がかかっています。〈南柯眺臺〉。署名を見ると〈九十七叟（そう）　雙石（そうせき）〉とあります。篆刻（てんこく）家の石井雙石が９７歳の時に書いた額です。

　などと、もっともらしく解説しましたが、この額はダジャレらしいです。〈南柯眺臺〉は「なんかちょうだい」。そう、物をくれと言っているのです。雙石はこんなユーモラスな作品をいくつか残しています。

　漢字そのものは意味ありげです。「南柯」は南の枝で、はかない夢のことも指します。「眺臺（眺台）」は景色を眺める台でしょう。つまり「夢を眺める台」という意味にも取れます。でも、あくまで「なんかちょうだい」の当て字です。

　漢字はもっともらしいのに、発音するとふざけた意味になる例は、ペンネームによくあります。「二葉亭四迷」が「くたばってしめえ」と読めるのは有名。現代でも「南陀楼綾繁（なんだろうあやしげ）」さんというライター兼編集者がいます。風流人は昔から、こういうことば遊びを好みました。