夕刊フジ記者「インドの電車のボックス席で、向かいに座った男子大学生が「君は僕の天使です。ウチに泊まって」とナンパしてきた」 [377482965]

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インド・ネパール　私の膝に小指がピトリ…うるうるとした瞳で青年が迫ってきた「君は僕の天使です」（夕刊フジ）
https://news.yahoo.co.jp/articles/9f6f57d3c9f6832125b1dd813ca5cecb1b086a76

【実録・人間劇場】アジア回遊編～インド・ネパール（４）

インドのチェンナイからコルカタへ向かう列車の中、ボックス席の向かいに座る男の小指が私の膝にピトリと触れた。私が乗っているのは「ＧＮ」と呼ばれる最下層のクラスなので車内は超満員であるが、向かいの男が故意に膝に触れたのは明白だった。

日本のハッテン場シーンにおいても、バンコクのバビロンというゲイサウナの聖地においても、彼らのアプローチの仕方は同じで、やはり小指で膝に触れて相手の反応をうかがうのである。加えて、私が彼の顔をチラっと見ると、ウインクを返してきたのだ。

うるうるとした目が特徴の彼は大学生で、ビシャーカパトナムという都市に帰省する途中なのだという。初めは拙い英語でお互いの国のことを話していたのだが、小指が触れたあたりから一気に雲行きが怪しくなってきた。

「コルカタまでずっと電車に乗っているのは大変だから、ビシャーカパトナムで一泊していくといい。僕の家は広いし、両親も歓迎するから、泊まりにきていいですよ」

「どうしても早くコルカタに行きたくて」と断り続けるも、彼はしつこく食い下がってくる。そして、ついにしびれを切らしたのか、スマホに打ち込んだヒンドゥー語を日本語に翻訳して私に読ませてきた。

「君の目は美しい。君の目はかわいい。君は僕の天使です。うちに泊まりに来ませんか？」

私はハッキリと「私はゲイではない。女の子が大好きなんだ。申し訳ない」と彼に謝った。すると、より一層目をうるうるさせながら、「寂しい」とつぶやいた。それから彼の故郷に着くまで５時間近くかかったが、気まず過ぎてなかなか眠ることができなかった。

ビシャーカパトナム駅で私の隣に乗り込んできた３人組もまた大学生だった。すでに外は朝になっている。駅のホームには商人たちがたむろしていて、出発までの数分間車内で食料品を売り歩き、列車が動き出すとピョンとホームに飛び降りる。商人たちはどこの駅にもいて毎回乗り込んでくるのだが、ある駅に止まったときに金属のバケツを棒でたたき、けたたましい音を立てながら乗り込んでくる集団があった。女性の格好をした男性が、３～４人の徒党を組んでいる。

「あの人たちは何？　女性に見えるけど、男性だよね？」

音のする方に身を乗り出しながら３人組の大学生に聞いてみると、「後で教えるから…！」と私の体を必死で押さえつけた。

「インドではああいう人をヒジュラーって言うんだ。神様みたいな存在だからお金をあげないといけない」

お金をあげたくないのか、３人は途端に寝たふりを始めたのだった。

■國友公司（くにとも・こうじ）　ルポライター。１９９２年生まれ。栃木県那須の温泉地で育つ。筑波大学芸術学群在学中からライターとして活動開始。近著「ルポ　歌舞伎町」（彩図社）がスマッシュヒット。