吉野家で酒盛りする貧相な人が増えているらしい [288887143]

　筆者が住む街の駅前には、牛丼チェーン「吉野家」の店舗があります。その店舗が最近、リニューアル工事のため一時閉店していました。
　正直に告白すると、この状況を目撃した筆者は早合点をしていました。吉野家でも店舗の一時休業や閉鎖が進んでいるのではないか、と思ったのです。
　しかしその店舗は、工事終了とともに再び開店。店先には、夜な夜な赤提灯がぶら下がるようになりました。その提灯には、黒文字でくっきりと「吉呑み」と書いてあります。

　吉呑みとは吉野家が新展開する「居酒屋」サービスのこと。牛丼などの食事メニューではなく、お酒やつまみを提供するサービスを始めたのです。
客席が2階にもある店舗について、その2階部分を夜時間だけ居酒屋として営業する仕組みです。

　日経新聞の記事（※）によるとこの新サービスは、2013年7月に東京・神田の店舗において試験的に始まった
といいます。この取り組みが成功したことから、都市部の店舗に順次サービスを拡大しました。執筆時現在、実施店舗数は東京・埼玉・愛知・大阪で全10店舗。
客単価は1500円程度とのことです（※日本経済新聞2014年8月13日付「吉野家『ちょい飲み店』が人気、その理由は」）。

　吉野家のウェブサイトでメニューを確認すると、居酒屋として最低限のメニューは網羅している印象を受けます。
料理では、従来から販売している牛皿のほか、牛すじ煮込み、まぐろ刺し身、メンチカツなどを用意。飲み物では
ビール、角ハイボール、梅酒、ホッピーセットなどを提供しています。

　実はこの料理メニューにおいて、吉野家はグループ内の企業や部門を活用しているとのこと。例えばまぐろ刺し身は
寿司店の「京樽」（吉野家ホールディングスの子会社）から、メンチカツは総菜店「おかずの華」
（吉野家の事業部門の1つ）から調達するといった具合です（参考：日本経済新聞）。つまり吉野家は、遊休地（夜は使用しない店舗2階部分）
とグループ企業・部門を有効活用することで、新たなサービスを生み出したわけです。

　ともあれ吉呑みは、従来なら居酒屋などの酒場に行っていたであろう仕事帰りの人々を、牛丼店が取り込もうとする動きだと言えます。

全文　http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20140911/271167/?P=2