２０年引きこもり「働きたい」→１１社目の面接で、清掃パートの仕事が決まる [509143435]

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働かない息子と困窮

「生活が苦しいんよ……」
堺市中心部のマンション。大家の男性のもとに住人の千代（７９）（仮名）が悲壮な顔で相談に来たのは、昨年１１月のことだ。

千代は次男の誠（５４）（同）と二人暮らし。
腰が曲がっても清掃の仕事を続け、月６、７万円を得てきたが、高齢を理由に辞めさせられ、
収入は月１１万７０００円の年金だけになったという。誠は２０年近く働かず、家に引きこもっている。

「かあちゃんは、せんど働いたよ。これから息子さんが頑張らんと」
そう優しく声をかけても、千代は「死にたい」と繰り返す。
男性はこれまでも２人を気にかけ、家賃を引き下げてきた。市の社会福祉協議会（社協）に助けを求めるしかなかった。

千代は、同じ徳島県出身の夫と、長男、次男（誠）の４人家族だった。
息子２人は独り立ちし、夫は亡くなった。ここまでは、よくある家族の風景だ。

だが、誠は３０代半ばの頃、長く勤めた大阪市内の飲食店を辞め、家に戻ってきた。
もともとコミュニケーションが苦手。妻や子のために汗を流す同僚と独身の自分を比べ、「何のために働いてるんやろ」と疑問が湧いたのだという。

堺市社協では、マンションの大家の男性から連絡を受け、浜田健右（３５）らが千代と誠への対応にあたった。
誠は履歴書の作成や面接の訓練を受け、リクルートスーツを借り、
経験のある飲食業界を中心に２月から就職活動を始めた。

しかし、受けても受けても不採用。
食品加工のアルバイトは、人間関係になじめず１日で辞めた。

自信をなくしかけた誠から３月末、社協に電話があった。
１１社目の面接で、清掃のパートの仕事が決まったのだ。「今、採用って言われました」。そう話す誠の声は震えていた。
http://www.yomiuri.co.jp/osaka/feature/CO022631/20160403-OYTAT50006.html