あいりん地区が外国人の人気宿泊先に、ドイツ人「交通アクセス良いし街の人は親切、日本人はよく知らないんだよ」 [186586446]

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縮む「あいりん」再生模索
2016年05月22日
　「日雇い労働者の街」として知られてきた大阪市西成区のあいりん地区が今、人口減による「消滅の危機」に直面している。激変する街を歩いた。（松田卓也）
　平日の午前５時。周囲はまだ薄暗い。
　「あいりん総合センター」の高さ約４メートルのシャッターが、キュルキュルと音をたてて開いた。むき出しのコンクリート柱が並ぶ駐車帯に、約２０台のワゴンや軽乗用車が入っていく。
建設現場などの仕事を紹介する「手配師」の車だ。作業着姿の男性が数人、ぱらぱらと近寄っていった。

　「兄ちゃん、仕事探してるんか」。そう声を掛けてきたジャンパー姿の男性（７０）がいた。車のフロントガラスには＜日給９０００円、期間１０日、名古屋＞などの求人票が３枚だけ。
　男性は手配師歴４０年以上という。「人も集まらんし仕事もあらへん。団塊の世代は福祉（生活保護）に、若い連中は福島や東京に行ってしもた。得意先（雇用主）はもう、いくつも西成から手を引いた」

　就労あっせんを行っている同センターでは１９９５年度、１日平均３７４０人の日雇い契約が成立したが、２０１４年度は４分の１の同９７１人まで減った。
男性は「『仕事をもっと寄こせ』と詰め寄られた時代が懐かしいわ」とつぶやいた。

　１軒の「サポーティブハウス」を訪ねた。６階建ての鉄筋コンクリート。かつては簡宿だったが、００年に福祉ケアつきアパートに衣替えした。
高齢の生活保護受給者を迎え入れ、２４時間常駐のスタッフが入居者をサポートしている。

　玄関のげた箱には、男性物の靴やサンダルが並ぶ。約７年の野宿生活経験があるという入居者の男性（７３）は「生活保護で、屋根の下で暮らせるようになった。金や薬も管理してくれるから安心できるんだ」
と穏やかな表情で語った。

　バブル崩壊後の１９９０年代、この街の路上は野宿者であふれた。２０００年代、生活保護行政の転換でホームレスや失業中の若年層などが受給しやすくなると、「生活保護の街」になった。
そして今、「人口減」の波が襲っている。

　簡宿街を歩くと、キャリーケースを引くアジアや欧米の外国人が目立つ。ピーク時に２００軒あった簡宿は大半がアパートになったが、約２０軒はネット環境を整え、外国人向け宿泊施設として活力を取り戻した。

　ある簡宿の休憩スペースにいたドイツ人のデニス・デューゼンベルグさん（３０）は、あいりんでの滞在は３度目という。「格安で個室に泊まれるのがいいね」。
母国では日本人留学生からこの街の悪い印象も聞かされたが、「交通アクセスが良いし、街の人は親切。日本の人たちはよく知らないんだよ」と笑い飛ばす。

　計６軒のホテルと簡宿を所有する山田純範さん（６７）は２０００年以降、施設を改装し、海外サイトに広告も掲載。今や年間延べ１０万人の外国人を迎える。
「地域全体が『泊まりやすい街』として海外に認知された。まだまだ客数は伸びる」
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