初の「名岐ダービー」J2に降格したグランパスを笑うため豊田スタジアムに岐阜県民が殺到！ [895142347]

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サッカーＪ２に初めて陥落した名古屋グランパスと、昨季辛くもＪ２に残留したＦＣ岐阜が４日、愛知県豊田市の豊田スタジアムで対戦する。
リーグ戦で初めて実現する「名岐ダービー」。盛り上がっているのはどちらかといえばＦＣ岐阜のサポーターのようだ。名古屋に親しみを感じつつも一線を画したい岐阜人気質で、番狂わせを狙っている。

昨年十一月、岐阜市の長良川競技場。ＦＣ岐阜が最終戦に逆転勝ちして残留を決めると、岐阜県羽島市の無職安東輝昭さん（７２）はさっそく「グランパス大歓迎」と書いたプラカードを高々と掲げた。
社会人リーグ時代からＦＣ岐阜を応援してきた根っからのサポーター。「グランパスとようやく真剣勝負ができるのはうれしい」と名岐ダービーの実現を心から喜ぶ。
岐阜の勝利を願いながらも「強豪グランパスはＪ１にいるべきクラブ。岐阜戦以外はしっかり勝って昇格し、東海地方のサッカーを引っ張ってほしい」と愛情たっぷりのエールを送る。

ＦＣ岐阜後援会「オレンターノ岐阜」が企画した名岐ダービーツアーには、バス七台分にあたる二百六十三人の申し込みがあった。担当者は「普段は多くても二台」と岐阜サポーターの盛り上がりに驚く。
一方で、複雑な思いの人も。後援会長を務める岐阜車体工業（岐阜県各務原市）の星野鉄夫会長（８０）は「ダービーは待ち遠しいが、どこか煮え切らない気持ちもある」と苦笑する。
グランパスのスポンサーには、トヨタ自動車などトヨタグループ各企業が名を連ねる。岐阜車体工業もトヨタグループで、愛知県との関係も深い。
自身も名古屋市内の高校を卒業し、名古屋の人とも付き合いが長い。「自分には名古屋人の意識もある。どちらのファンも楽しむ試合をして、最後にＦＣ岐阜が勝つのが理想」と本音を明かした。

名古屋グランパスの地元は「受けて立つ」との構え。商店街一丸となってチームを応援している、名古屋市瑞穂区の瑞穂通商店街振興組合の大野勝蔵理事長（６９）は
「楽しみだ。名古屋でも、ＦＣ岐阜との対戦には盛り上がりを感じている。勝ち負けはともかく、良い試合になるはず」と期待を寄せる。

◆歴史的にも密接、複雑

時代をさかのぼっても、尾張国（愛知県西部）と美濃国（岐阜県南部）は、密接で複雑な関係にあった。
南北朝時代、美濃の守護大名だった土岐頼康（一三一八～八八年）は尾張も支配下に置いた。戦国時代は尾張出身の織田信長が美濃を支配していた斎藤氏を倒し、現在の地名「岐阜」と命名した。
東海地方の地域文化に詳しく、「岐阜は名古屋の植民地！？」などの著書がある郷土史家松尾一さん（６９）＝岐阜市＝は、岐阜と名古屋の関係を「片一方の思い」と表現する。
「岐阜市民の多くは名古屋に親しみとともに従属したくないという思いを抱いている。だが、名古屋市民はあまり岐阜を意識していない」と分析する。
「名岐ダービーは岐阜の人にとって、希薄だった“岐阜人”の意識を呼び覚ますきっかけになるかもしれない」と話している。
（岐阜報道部・宮崎正嗣）

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