【男の悩み】男は30歳をすぎると「性欲」か「髪の毛」か選ばなきゃならないってマジ？究極の二択だろ… [303184969]

髪の毛を取るか、精子を取るか

　さて、今回は「フィナステリド」という薬について書きましょう。昨年のクリスマスにもこの薬について、
ＥＤ（勃起障害）が起こるというテーマでご紹介しました（薄毛治療薬とＥＤの話＝２０１２年１２月２５日付＝）。

　この薬、日本ではプロペシアという商品名で、男性の脱毛症に処方されます。最近、この薬を使用している若い男性も多いようです。
毛髪の薄さが気になる方には、とても大切な薬ですが、精子が減ってしまう副作用もあるのです。

　アメリカの生殖医学会の雑誌Ｆｅｒｔｉｌｉｔｙ　ａｎｄ　Ｓｔｅｒｉｌｉｔｙに掲載された論文を紹介しましょう。フィナステリドを飲んでいた男性１４人について、
服用中と、中止後の精子濃度を比較しました。服用中の平均濃度は１ミリリットルで１，３２０万でしたが、中止すると４，２２５万に明らかに上昇していました。

　もう少し詳しく結果をみましょう。精子の量も、平均で１１．６倍に増加していました。服用を中止した後に精子数が減少した男性はいませんでした。

　この結果からわかることは、フィナステリドを服用すると精子の数が減少してしまう可能性があるということです。

　この薬は男性不妊の原因となる可能性があるため、子どもを望む世代の男性は、知っておいてほしいと思います。

　私が担当する男性不妊外来では、男性患者さんで、フィナステリドを服用していて、かつ精子に問題がある場合は、
まずは服用の中止を勧めています。中止した患者さんの中には精子濃度が改善した患者さんもいます。また、中止しても全く変化のない人もいました。

　フィナステリドは、アメリカでは前立腺肥大症の治療用として承認されました。その後、男性型脱毛症の治療用としても承認され、
使っている男性は増えているようです。でも、米国食品医薬品局（ＦＤＡ、日本で言えば厚生労働省にあたる組織です）は、
フィナステリドが男性不妊に及ぼす悪影響については全く報告していません。知らずに服用し、不妊に悩んでいる男性もいるでしょう。

　男性不妊の専門医のなかでは常識となりつつある「毛はえ薬と男性不妊の関係」。このブログはじめ、様々な手段で広く伝えていければと思っています。

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20131224-OYTEW54278/