高齢化するスリの世界逮捕歴２４回を数える“デパ地下のさと婆”（昨年の逮捕時８３歳） [533895477]

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８１歳の名物スリ師の隠れた「老人力」

さいたま市浦和区のスーパーで５日、女性客（７７）の手提げバッグから現金約１６００円入りの財布を盗んだ窃盗の疑いで、同市中央区の無職別部（べっぷ）やい子容疑者（８１）が現行犯逮捕された。
若い犯罪者が特殊詐欺などに流れる中、現場主義のスリ師の世界は“デパ地下のさと婆”“声かけのタマちゃん”など、いまや後期高齢者だらけ。犯罪には違いないが、その驚くべき“バイタリティー”の秘密とは――。

埼玉県警によると、別部容疑者が食料品売り場で被害女性の背後に二人羽織のように立ち、右手で商品を物色しながら、マフラーで隠した左手を被害者のバッグの中に入れたところを警戒中の捜査員が発見。財布をスッた後は足早に店外に出る機敏さだった。逮捕時には「ハイハイ、やりました」と、あっさり容疑を認めたという。
スーパーの関係者によると「先週もお客さんの財布がなくなって、私服警官が警戒していたところに現れた」。昨年１２月中旬から周辺のスーパーでも同様の被害が発生。別部容疑者が近所に引っ越してきたのも同時期だった。
年金生活で区内の家賃５万５０００円のアパートに一人住まい。「生活に困っていた」と動機を話しているという。

別部容疑者は長年のスリ生活を送ってきたが、特に悪人風ではなく、どこにでもいるおばあさん風だという。黒ジャケットに黒ズボン姿でリュックを背負い、ピンクのマフラーを手に持ちながら買い物客に紛れていたが、「目は客のかばんを追いかけながらターゲットを物色していた」（捜査関係者）。
通り名こそ付いていないが、別部容疑者は「スリの捜査員で知らない者はいない」（捜査関係者）ほどの常習犯。２００３年逮捕時の報道では「全盛期には人混みで瞬時に複数人の財布を抜き取っていた」という見事な手さばきが伝えられた。
元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は「スリ師といっても、高齢になれば動作も神業というほど俊敏ではなくなるが、長年のカンで場の雰囲気づくりが非常にうまい。
ばあさんが近づいても警戒されないこともあるが、伝説と言われるスリ師は気配を消すのが天才的で、一瞬の隙を突いて財布を抜き取るまでの一連の流れがスムーズ」と指摘する。
若い犯罪者では、そうはいかないようだ。
「４０代くらいの盗撮犯なんかがよくバレているのは、興奮状態や殺気立った状態を被害者にも周囲にも気づかれるからです。
その点、犯行時のベテランスリ師は“無の境地”。職業スリ師に聞くと『若いころはターゲットに振り向かれてドキッとしたこともあったが、繰り返しているうちに振り向かれなくなる』というんです。まさに長年で培った職人芸なんです」と小川氏。

動機は生活困窮のケースが多いという。
有名なスリ師がスーパーで６２０円の弁当を万引きして捕まった際『もっと大きいヤマ（事件）をしゃべるから、こんな事件で逮捕しないでくれ』と懇願してきたこともありました。職業スリ師としてのプライドなのか、かたくなに生活保護を申請しないスリ師もいます」（同）
別部容疑者に限らず、スリ師の世界は、逮捕歴２４回を数える“デパ地下のさと婆”（昨年の逮捕時８３歳）や、被害者に話しかける手口のスリ師“声かけのタマちゃん”（同７５歳）など、後期高齢者だらけなのには驚くばかり。
小川氏は「スリ師は気づかれないよう相手を見ていて、自分の手元を見ないから手先の感覚はすごいし、いろんなスーパーを物色するのに一日に結構な距離を歩くので足腰も丈夫。捕まるたびに“これはしゃべる、しゃべらない”と瞬時に判断して刑事と駆け引きしているので、ボケないし記憶力もいい」と指摘。
それほど元気があるならスリ師を廃業して、もっと別の人生を送ってほしいものだ。
http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/649466/

高齢化するスリの世界 逮捕歴２４回を数える“デパ地下のさと婆”（昨年の逮捕時８３歳） [533895477]

高齢化するスリの世界逮捕歴２４回を数える“デパ地下のさと婆”（昨年の逮捕時８３歳） [533895477]