（ヽ´ん`）「ん…鬱だから無罪にして」ケンモメン、法廷で主張する [511393199]

的井圭一

http://img.5ch.net/premium/1051729.gif
え？と驚く裁判は珍しくありません。限界まで追い込まれた人が来る場所だからです。窃盗という罪名で50歳の被告（男性、身柄拘束）の裁判もそうでした。

被告がやったのは万引きです。検察によると今年の5月にホームセンターで「3000円相当のパークゴルフのグローブ」を万引きしたとの事。

えぇ・・・・

と私は思いました。それごときで裁判までなるということは相当前科があるということでしょう。　
それにしても3000円のパークゴルフ用グローブなんて盗んでどうするのでしょうか。謎です。

被告は50歳、短髪に刈り上げた小柄な男性です。検察の事実関係は認めるけど「手紙を書いてきたから読ませてください」と弁護人が言いました。

裁判が始まっていきなり被告が発言するのは珍しいことです。最後に裁判長が「何か言うことありますか？」と聞くことはあるのですが、
なにを言うのでしょうか？その内容が「え？」となるないようでした。

被告からのメモ

「私は生まれつき人並み以下で、知恵遅れです。私は去年釈放されてからうつ病に近い状態でした。安定剤を飲んでいて、幻聴も聞こえます。
母親から精神科の紹介状も渡されました。自殺も考えています。私はウツ、パニック障害、心神耗弱状態なので無罪です」

被告がメモを読み終えた後、しばらく沈黙があり裁判長がそれを破りました。

「・・・・つまり、刑事責任がないってこと？弁護人？」

弁護人「すいません、私も二日前にメモの存在を知った状態で、これからの証拠調べなどの予定は未定です。ちょっとお時間いただければ・・・」

結局検察と別室で今後の予定を話し合うことになりました。身柄拘束の被告は再び腰紐と手錠をかけられ退場、われわれ傍聴人も外に出ることにしました。

１００％無罪ではないけれど　

被告は職業訓練所を卒業した後愛知県に渡り、５つの前科があります。
すべて窃盗で、バイクなどを盗んでいました。今回の窃盗は仮釈放中だったので、１００％無罪はありえません。

そこで、ベンチにすわっていた傍聴人に話しかけてみました。

「話し合いってどれくらいかかるんですかね？」

初対面ですが、なんどか見かけた顔のおじさんです。

「わっかんねえな、こんなの初めてだな」

それから傍聴マニアの会話が弾みました。いやー楽しかった。

「仮尺だから無罪は無いな、で、母親にも見捨てられたな」

ああそうか、さすがの視点です。傍聴席に母親の姿はありませんでした。

刑事責任能力を問う裁判になるのなら、母親はもとより医者を呼ばなくてはいけません。
そして精神鑑定をしなければいけなくなります。
でも、被告は事実関係は認めているのです。しかも仮釈放中。そんな精神鑑定をする無駄をするのでしょうか？

「するかもしれねえな、なんてったって裁判所だからな」

どんな敏腕弁護士でも無罪を勝ち取ることはできないでしょう。
３０００円のパークゴルフ用グローブの万引きがこれほどややこしくなるとは誰もが想像できなかったでしょう。

http://hatinoyado8.hatenablog.com/entry/2018/06/22/223854