おしっこは飲尿療法で飲むと体に良いけど、うんこはどうなの？ [744095617]

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「祈りは人前での排泄」恥ずかしがった女性は死を前に…

淀川キリスト教病院チャプレンの藤井理恵さん
　人生には実にさまざまなことがあります。ひどいことをされて、恨みが残ることもあります。

　６０代の女性Ａさんはがんの化学療法を受け、最期はホスピスで亡くなりました。

　「牧師さんと話がしたいという患者さんがいる」と言われ、病室を訪ねました。Ａさんは化学療法の最中で、「体はお医者さんに治してもらうけど、心は聖書のことをよく知っている人に話を聞いてもらわないと解決しないと思って、呼びました」といいます。他人に強い恨みがあるようで
「どうしても赦（ゆる）せないことがある。こんな気持ちのまま死んでいくのはあまりにもつらい。心が楽になるようにお手伝いをお願いしたいんです」と涙を流しました。「誰かを赦せない」のも、大きなたましいの痛みです。

そんな人に「他人を赦せないあなたはいけない」とか「赦せるいい人になりましょう」と言っても意味がありません。自分の力で赦せるならとっくに赦しているからです。

　私はＡさんに「私は人を赦せない人間ですけど、そんな私をどうにかして下さい」と預ける、委ねる先があると話しました。

　人は自己完結しなくてはいけないと思っていて、それができないから苦しい。ですが、最終的には人間ができる領域は決まっていて、そこから先は神様に預けるというか、風呂敷に包んでポイと投げ渡すしかない部分があると思います。キリスト教でいう「委ねる」ですが、神様にすべてを打ち明けて祈るという行為も同じです。

　それで祈ることをお勧めしましたが、Ａさんはなかなか祈れませんでした。

　彼女はミッションスクール出身で英語も得意。ある時、聖書の「あなたの重荷を主に委ねよ」の節を英語で読むと、「委ねる」が「ｃａｓｔ（投げる）」と書かれていた。それで「ああ、投げていいんだ」と気持ちが変わり、「初めて祈ることができました」と涙を流しながら安堵した表情で話してくれました。

　「神様に祈るなんて、人前で排泄（はいせつ）するみたいで、汚いところを全部さらけ出すみたいで、恥ずかしくてとてもできなかったんです」と言います。私も「排泄」という言葉には驚きました。Ａさんはプライドが高く、自分のいいところだけを見せて生きてきたのかもしれません。

　「『神様、私をあなたに投げます』とお祈りしたら本当に楽になりました」「１０年来の恨みが消えました」「面と向かって『赦す』とは言えないけれど、赦せないしんどさを抱えて生きることはなくなりました」と、恨みから解放されて最後の日々を過ごし、「今が十分幸せです」という言葉をのこして逝きました。