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「警告」の一文が発端だった　豪のスター選手不在の訳

ラグビー・ワールドカップ（Ｗ杯）日本大会で、過去２度の優勝を誇る豪州が１９日、大分スポーツ公園総合競技場でイングランドとの準々決勝に臨む。
ただ、そこには、本来ならいるはずだったラグビー界有数のスター選手がいない。７３キャップ（代表同士の公式戦出場数）を持つバックス、イズラエル・フォラウ（３０）。インスタグラムで同性愛者を中傷する投稿をしたとして、豪州ラグビー協会に契約を解除され、代表選手になる権利を失った。
　問題の投稿は４月にあった。「ＷＡＲＮＩＮＧ（警告）」の一文で始まり、「飲んだくれ、同性愛者、姦通（かんつう）者、うそつき
姦淫（かんいん）者、盗っ人、無神論者、偶像崇拝者には、地獄が待っている」とつづられていた。フォラウは「イエス・キリストはあなたたちを愛し、悔い改める時間を与えられている」というコメントも添えていた。

　ここに同性愛者が含まれていたことに非難が集中。同様の投稿を１年前にもしていた。豪州ラグビー協会は「ラグビーは人々を団結させようとしてきたスポーツだ。人種、性別、宗教に基づいたいかなる中傷も受け入れられない」と、５月に契約を解除した。

　代表での３７トライは豪州歴代４位。南半球最高峰のプロリーグ・スーパーラグビーで通算６０トライの最多記録を持つフォラウだけに波紋が広がった。

　フォラウは協会に謝罪と損害賠償などを求める裁判を起こすと決め、インターネットを通じて寄付を募った。だが、７０万豪ドル（約５千万円）以上が集まってから、寄付サイト側が「差別と排除を助長することは容認できない」と拒絶。すると
フォラウを支持するクリスチャン団体が集金を申し出て、２日間で２００万豪ドルが集まった。裁判はいまも続いている。

　シドニーモーニングヘラルド紙（電子版）はＷ杯開幕前、フォラウを代表に選出しなかったチェイカ監督が、フォラウの支持者から脅迫を受けたと報じた。（菅沼遼）

「現代の知識と照らし合わせれば…」
　国際基督教大の森本あんり副学長（神学）の話　約２千年前に書かれた聖書には同性間の性行為を禁じる記述があり、今も同性愛をタブー視する保守的な宗派はある。フォラウ選手の投稿は
そうした人たちからの共感を得ているのだろう。ただ、現代の知識と照らし合わせれば、フォラウ選手のような聖書の読み方は適切とは言えない。たとえ本人に同性愛だけを特定して差別するつもりがなかったとしても、彼の社会的立場に鑑みれば批判は免れない。

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