お前ら、カラス飼えよ　芸覚えたりして可愛いぞ [669877468]

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「四万十のハイジ」のヤギ、天国へ　遺した白い贈り物

ヤギのチャチャが死んだ。高知県四万十市の小学6年林海風（みかぜ）さん（12）と四万十川のほとりを一緒に散歩する姿が牧歌的で、海風さんは地元で「四万十川のハイジ」と呼ばれていた。

　1月28日、暴風や激しい雷鳴が過ぎ去った朝だった。海風さんの父親の芳和さん（43）がいつものように小屋をのぞいた。チャチャは体を横たえ、目を閉じていた。息はなかった。死因はわからない。

　芳和さんはその後、娘を小学校へ送る車の中で「チャチャが死んだよ」と助手席の海風さんに告げた。「えっ」と言ったきり、海風さんは窓の外に目を向けた。景色は涙でぼやけて見えなかった。

　チャチャは2歳の雄。大きな角と顔が少しだけ茶色い。一昨年の4月、両親が「家の周辺の草を食べてもらおう」とチャチャを知人からもらってきた。チャチャが運動不足にならないよう、海風さんは休みの日や放課後、四万十川に架かる佐田沈下橋や四季の花が咲く田園地帯を連れて歩いた。

　相棒のために自宅の庭に墓をつくって紅葉の苗木を植えた。「寂しい」と海風さんは墓をそっとなでる。

　澄んだ青空が広がった2月23日、海風さんはチャチャの妻の小白を散歩に連れ出した。黄色い菜の花や河津桜がそよぎ、上空をトンビが舞う。青い四万十川の風はまだ冷たい。

　空の白い雲を眺めているとチャチャとの思い出が次々と浮かんでくる。トンビのけんかやカラスの水浴びを一緒に見物した。沈下橋の上で、車を避けるために大きな角をつかんでチャチャを守ったことや家から脱走した日のこと。小白を引くロープにチャチャの強い力が伝わってくるようだ。

　そして24日朝。小白がチャチャの子どもを出産した。雪のように真っ白い雄の赤ちゃん。抱いた海風さんは「白い毛がふかふかでかわいい。チャチャもやるな。チャチャ素敵な贈り物をありがとう」。

　海風さんはこの春、中学1年生になる。「短かったけどチャチャと歩いた時間は大切な思い出です」

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