ＶＯＷ [622946506]

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https://digital.asahi.com/articles/DA3S14402182.html

日本の描写、「誤解ないよう意見」　英国作品「水俣」に出演、真田広之

今年のベルリン国際映画祭で、水俣病をテーマにした英国映画「水俣」がプレミア上映された。１９７０年代初頭の水俣を撮った米国の写真家ユージン・スミスにスター俳優ジョニー・デップを配し、患者の怒りと苦しみに迫った話題作。患者の先頭に立つ闘士を演じた真田広之に聞いた。

　公式上映で作品を見た真田は「この映画に参加して良かった」と話す。「重要なメッセージを盛り込んだ美しく力強いアート映画になっていましたね。アンドリュー・レビタス監督のセンスを感じました」

　日本の描写がゆがまないよう、撮影から編集まで、監督たちに意見を言い続けた。「出演依頼があった時に監督から『日本人のスタッフがいないので、君がチェックしてもらえないか』と。そちらは完全にボランティアでしたが（笑）」

　半世紀前の水俣を再現するため、セルビアなどで撮影した。「数日前に現場に入り、セットから小道具までチェックしました。日本語をちゃんと書ける人がいないので、看板の字を書いたりもしました」

　「ラストサムライ」など日本を描いた外国映画に多数出演している真田だが、今回は特に注意を払った。「日本への誤解に満ちた作品になると、デリケートな題材を侮辱することにもなりかねない。だから、極力オーセンティック（本物らしい）にしようと思いました。毎朝、監督が来る前に現場に行きました。衣装を来てカメラの前で演技をしている時が一番楽でした」

　真田との話し合いの中でレビタス監督は「水俣の問題は過去のものではない。現代も続いている。そして水俣だけでなく、世界のあちこちで今起こっている。この映画のメッセージは今こそ必要とされている」と話したという。

　真田演じる闘士が劇中の演説で発する怒りの言葉の数々は、川本輝夫さんを始めとした実在する人々のスピーチから取っている。監督の思いを代弁する役回りでもある。「今回は、自分の中では演技をしたという感じが全然ないんです。重要な言葉を観客に伝えるメッセンジャーに徹して、カメラの前に立ちました」