くまぇりだよぉ～！！ [827030376]

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https://digital.asahi.com/articles/ASN3N00S3N3FPUZB00J.html

富山）立山の熊狩り　芦峅寺に残る記録写真

かつて、富山県立山町芦峅寺の猟師たちは、春になるとまだ雪深い山の奥深くへ熊狩りに出向いた。80年以上前の熊狩りの様子を記録した写真が、地元の人たちの間に残っていた。

　立山黒部アルペンルートの美松坂に立つ関西学院大学立山山小屋の管理人、佐伯重行さん（82）の手元に8枚のモノクロ写真がある。写真には「THE　OSAKA　ASAHI」の印があった。

　調べると、1936（昭和11）年5月3日付の大阪朝日新聞に「立山の熊狩」として掲載された写真と分かった。当時のカメラマンが猟師たちにプリントを贈ったものが残っていたとみられる。

　鉢巻き姿で槍（やり）を手に熊と向き合う猟師。写真説明には「槍を突きつける佐伯栄作君。鉄砲でねらふは佐伯房重君」とある。房重さんは重行さんの父親。日中戦争に従軍し、37年10月に戦死した。「これがおやじか」。37年4月生まれで父親の記憶がない重行さんはうなった。

　栄作さんのおいの子にあたる佐伯和起（かずゆき）さん（67）は、立山連峰の稜線（りょうせん）上に立つ剱御前小舎（つるぎごぜんごや）の前経営者。父親の故宗弘さんから栄作さんの武勇伝を聞いたという。栄作さんや、和起さんの祖父の宗作さんは立山の名ガイドとして活躍し、熊狩りにも出向いたという。

　和起さんの手元には宗作さんが熊狩りの時に腰に着けていた「袋槍」が残る。杖の先にかぶせるように取り付ける槍の穂先だ。熊狩りでは銃が使われていたが「槍は止めさし（とどめ）や儀式で使ったのだろう」と和起さんは話す。

　和起さんによると、立山では危険な厳冬期には山には入らず、3月に行われる「山の神の祭り」が終わってから熊狩りに出ていたという。立山カルデラ砂防博物館学芸員の白石俊明さんは「狩猟期間外だが、有害鳥獣駆除の仕組みを使っていた」と話す。「高価な熊の胆囊（たんのう）が最も肥大する時期だし、クマに人間の怖さを知らせる意味もあったと思われる」とみている。

　記録が残る明治以降で、クマなどの野生大型哺乳類の個体数が最も多く、分布域も広いのは現代と言われる。白石さんによると「猟師がいなくなったから。昔は『狩猟圧』が高く、クマも山奥に行かないと出合えなかった」という。