電通ってなにやってる会社なの？ [989265579]

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ひきこもり、精神科病院に入退院10年…からの大卒就職

学校や職場での人間関係がきっかけになることがあるひきこもり。長期化すると、親子で孤立化することもある。ひきこもりから10年にわたって精神科病院の入退院を繰り返したあと
大学に合格し、今は電気工事会社で正社員として働く男性が、自らの病気を受け入れ、立ち直るまでの経験を語った。

　「同級生と同じように振る舞えないことに気づいた。それがコンプレックスになって、あまり人と話をしなくなった」

　中学生時代をこう振り返る小山公一郎さん（43）=さいたま市南区。学校では目立たない生徒だったが、家庭では主に母と弟に暴力を振るうようになった。子どものころは親の言うことをよく聞く子だった。
しかし、次第に「親に反発して、どうにかして困らせてやりたいと考えるようになった」という。
高校に入ると、「何をしに学校に来ているのかわからない」と感じるようになり、遅刻から始まり、休む日も徐々に増えた。3年生になる時に留年して、退学した。
20歳を過ぎたころからは、家族と別居するように。食事は親からもらう生活費で買ったコンビニ弁当など。最初は「楽しい」と感じたこともあったが、だんだん友達からの誘いもなくなり、外に出ることも怖くなった。昼夜が逆転し、夢なのか現実なのかがわからない妄想が始まった。
「テレビの出演者が自分のことを話しているように感じたり、遠い未来のことが見えているように感じたりした」。幻聴や妄想の症状が現れ始めた。
1997年6月、高校を中退して3年がたったある日のことだ。
風呂にも入らず、髪も腰まで伸びきっていたころ、ひきこもっていた自室に男性2人が突然入ってきた。羽交い締めにされ、家の外に連れ出された。
「抵抗しましたが、慣れている人たちで、あっという間でした。どこに行くかもわからず、怖かった」
母が頼んだ精神疾患患者の搬送会社員だった。
連れていかれた建物では個室に通され、扉に鍵をかけられた。職員らしき人にどこなのかを尋ねても「病院です」とばかり。室内にあるのはベッドとトイレだけ。窓も時計もない。テレビで見たことがある独房のようだった。ベッドには腰と手足を固定するベルトのような器具がついていた。
その部屋で「薬のもうよ」と錠剤を出された。何かの説明を受けた記憶はない。怖かったので言われるままにのんだ。「いつまでここにいるんですか」と聞いても、「わからない」。「保護室」と呼ばれるその部屋で2週間ほどすごした。しばらくして「統合失調症」という診断を聞かされた。
「ここで一生終わるのか」
その後は4人前後の「大部屋」に移った。窓はあり自由に出入りできたが、階ごとに鍵がかかる「閉鎖病棟」だった。外には出られなかったという。
スイカ割りやカラオケ大会といった「プログラム」はあるが、ほとんどやることがなかった。薬を飲むと眠くなる。「食べて寝るだけの生活」で、太った。「ここで一生終わるのか」と思ったこともあったが、入院は3カ月。病院で21歳の誕生日を迎えた。
退院すると、薬を飲まなくなる。飲まないと、その時は体が楽になるが、眠れなくなって元の生活に戻る。入退院を繰り返した。
「同じような境遇の人がいて楽しい」と思った時期もあり、長いときは入院は2年に及んだ。精神障害者の自立訓練施設を経て一人暮らしをしてみたこともあるが、うまくいかなかった。
30歳の冬に入院したときは他の患者とトラブルになり、長期間、個室に隔離された。保護室よりは広く窓もあるが、部屋に鍵がかかる。
1人になり、「このままでは一生を棒に振る。きちんと治療を受けよう」と考えた。そして、「もう一度学校に行きたい」と強く思うようになった。
小山さんは実は、20歳で最初の入院をする前、大学入学資格検定に合格していた。それから体調を大きく崩し、10年間、受験勉強から遠ざかっていた。
この間にも、大学入試センター試験のニュースや予備校の宣伝を見て大学に行きたいと思うことはあったが、体調が悪く実行には移せなかった。
2007年5月、30歳のとき、7回目の退院をした後は、きちんと薬をのみ、社会復帰に向けて取り組んだ。生活を支えたのは母の美枝子さん（77）だった。父はひきこもるようになったころに「いなくなった」（小山さん）。
美枝子さんは、再起を決意した小山さんのために働く場所を確保しようと、それまで勤めていた会社を辞め、喫茶店を始めた。小山さんも障害者のバレーボールサークルに参加するなど、外とのかかわりを模索した。
治療で体調も回復し、受験勉強には集中できた。軌道に乗った32歳のころに「受験したい」と家族らに宣言。34歳の11年、希望の大学に合格した。
大変だったのは、ここからだった。