新型コロナウイルスに感染したんだけどなにすればいい？ [429877192]

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コロナ対応、打つ手限られた日銀　緊急会合の舞台裏は

新型コロナウイルスの感染拡大に揺れる世界経済。ウイルス感染は当初中国で広がった後、世界中に蔓延（まんえん）し死者や患者が続出。経済活動は一気に停滞した。先行き不安から世界の市場は動揺し、株価は急落。
市場のお金の流れをつかさどる中央銀行はかつてのリーマン・ショック時並みの危機対応を相次いで繰り出している。米連邦準備制度理事会（FRB）が15日（日本時間16日朝）に公表した2度目の緊急利下げに続き、16日午後に3年8カ月ぶりの追加緩和策を決めた日本銀行。その舞台裏を追った。
　もともと日銀が定例の金融政策決定会合を予定していたのは18～19日。だが、FRBが15日に緊急利下げを行い、呼応して日銀も16日に会合を前倒しさせた。これまでも臨時の決定会合はあったが、「前倒し」は前例がない。

　日銀が会合の前倒し開催を決めたのは当日、16日の朝だった。午前8時50分に会合の招集を公表。会合は正午に始まり、議案を採決して会合が終了したのが午後1時59分。決定内容の対外公表を、株式市場での取引が終わる午後3時に間に合わせた。

想定外の「２度目の緊急利下げ」
　会合後の記者会見。黒田東彦（はるひこ）総裁は、「今回の対応も、世界的なといいますか、主要国の協調の枠組みのなかで行われたということです」と述べ、海外の中銀と足並みをそろえた決定であったことを強調した。

　その約半日ほど前、週明け16日のアジアの金融市場が始まる直前の早朝。米国時間ではまだ日曜日だった15日夕方に、FRBは当初予定していた17～18日の定例のFOMC（連邦公開市場委員会）を緊急で開き、「1.00%幅」の利下げを決め、「ゼロ金利政策」の復活や大規模な「量的緩和」の再開を決めた。

　FRBは3日に緊急利下げをしたばかり。日銀は、FRBが定例のFOMCで追加利下げするとは予想していたが、再び緊急利下げに踏み込むとまでは考えていなかった。

　FRBの1回目の緊急利下げ直前の2月28日、パウエル議長は「適切な行動をとる」と利下げを示唆する声明を出していた。その直後の3月2日午前、日銀の黒田総裁も声明を公表。
潤沢な資金供給や市場安定に努める姿勢を強調した。FRBは翌3日に緊急利下げを実施。日銀は同時に追加緩和を行ったわけではないが、事前に出した声明で「この局面では迅速に動くのに努める」（幹部）姿勢を示していた。

　そして今回のFRBの再度の緊急利下げ。日銀にとって、同時期に動かないという選択肢は、事実上なかった。もともと日銀も、同じ内容の追加緩和策を19日に決める予定だったが、それではFRBの相次ぐ利下げに取り残されたかのような印象を市場に与えてしまう。このままでは市場や政治の圧力に耐えられないと判断した。

　今回のような危機対応で、日銀は過去に苦い経験がある。2008年9月のリーマン・ショック後の金融危機。08年10月、米欧など主要6中銀が協調利下げをした際、日銀は支持する声明は出したが
実際には利下げには加わらなかった。「緩和に消極的」とみられ、急激な円高に苦しめられる契機にもなった。日銀はその後、ゼロ金利の復活や量的緩和政策に踏み込んだが、FRBなどの緩和に出遅れたかのような印象を市場に与えた。金融政策を決める政策委員の一人は
「あの時のように日銀が『緩和競争』に負けたと市場に思われた失敗を繰り返すわけにはいかない。海外中銀とちゃんと歩調を合わせてみせることが大切だ」という。

限られていた政策手段
　とはいえ今回、日銀はすでに13年4月からの大規模な金融緩和を続けている。マイナス金利政策や長短金利操作、株価指数に連動する投資信託（ETF）や上場不動産投信（REIT）の買い入れなど、あらゆる緩和策を行ってきた。FRBに歩調を合わせるとはいえ、一体何ができるのか、が問題だった。

　ウイルスの感染拡大が深刻化し始めた2月下旬ごろから、「何かしら市場を安心させるようなメッセージや材料が必要になってくる」（幹部）との認識は日銀内にはあった。ただ、3日のFRBの緊急利下げ後も、米国でダウ工業株平均の大幅下落は続いていた。
異例の緊急利下げにも市場の動揺は収まらない。日銀内では、「こんな状況で慌てても駄目だ」（幹部）と状況を慎重に見極めたいとの意見も根強かった。

　あらゆる緩和手段を繰り出してきた日銀ができる追加緩和策は限られていた。FRBと同様、「利下げ余地があれば、もちろん我々だってこの局面だったら金利を下げている」（幹部）。
しかし、これ以上マイナス金利幅を広げる「深掘り」をすれば、貸出金利低迷で経営が苦しい地方銀行などにはさらなる打撃だ。