保健所、深刻な人手不足　「PCR検査を受けたい」相談や感染追跡が激増 [439967154]

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新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、保健所の人員不足が深刻な状況に陥っている。地域の健康や衛生を支える公的機関として、感染を疑う事例の相談を受けるだけでなく、感染経路の追跡も担い、拡大を食い止める要となるべき存在だが、激増した負担に現場の態勢が追い付いていない。専門家は「一部の業務の外部委託や、IT技術を活用した負担軽減を急ぐべきだ」と提言する。

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　「PCR検査を受けたい」「私は新型コロナでしょうか」。福岡市各区の保健所に置かれた「帰国者・接触者相談センター」。4月に入り、1日の相談件数が千件を超える日もある。ある担当者は「受話器を置いたら、またすぐにかかってくる状態」。1件の対応に30分以上かかることもあり、夜間も交代で携帯に転送される電話を受ける。

　濃厚接触者の特定や健康状態の確認、クラスター（感染者集団）の感染経路の解明…。業務は多岐にわたる。他部署の職員も協力するが、対応は限界を迎えつつあるという。

　一方で、病院関係者からは「回答に何時間もかかる」「医学的な話が通じないことがある」など、保健所の人員不足が医療現場の混乱の一因になっているとの不満の声も出ている。

　負担軽減の試みとして、厚生労働省は外部委託も可能な保健所の業務を提示した。福岡市は相談センターの対応に、看護師などを充てることを検討中だ。保健所長を務めたこともある浜松医科大の尾島俊之教授（公衆衛生学）は「現在電話で行っている濃厚接触者などの健康観察には、活用できるアプリが開発されている。ITを活用することで一定の負担軽減は可能だ」と強調する。

　全国の保健所の数は約470。行政改革などにより、この30年ほどで400近く減少した。福岡県内では36（1989年）から18になった。尾島教授は「これほどまでに拡大する感染症への対応を想定しないままに、保健所数を減らしてしまった」と指摘。「今回の経験を踏まえ、感染症対策の視点から保健所の在り方を再検証する必要がある」と話す。
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