ドラゴンボールで誰とセックスしたい？ [392363431]

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https://digital.asahi.com/articles/DA3S14390815.html

声優養成所　台本を手に、大パニック！

■極意は「演じないこと」

　声優が「アニメや映画の吹き替えをする役者」と思われていたのは過去のこと。今やオンラインゲームに音楽配信、ユーチューブの世界へと活躍の場を広げ、クールジャパンを力強く牽引（けんいん）している。あこがれの声優、私たちもなれるかな？　声優養成所の門をたたきました。

　オーサはアニメ声である。高く細く柔らかで、ベルベットを思わせる魅力的な声音だ。アニメは無論大好きだから、声優体験は大歓迎だろう。

　……と思い誘ったのだが、違った。かつて自作マンガを動画化したユーチューブの「モーションコミック」で、「自分」役の声をあてた経験がトラウマなのだという。

　「日本語の台詞（せりふ）を読みながら演じるのは難しく、暗記しようとしたけど全然覚えられない。後から聞いてあまりの下手さにびっくりし、自分の中では封印したんですぅ」

　ここで終わらぬのが負けず嫌いなオーサのいいところ。「でも再チャレンジはいいことです！」。話は決まった。

　向かったのは東京・西新宿のインターナショナル・メディア学院。アニメ「ドラゴンボール」シリーズに登場するサイヤ人、「ベジータ」の声で知られる声優の堀川りょうさん（６２）が学院長を務め、全国で教室を展開する声優養成所だ。夕方から始まる基礎クラスに２月上旬、私たちも参加させてもらった。

　　　　　＊

　「声優でね、一番大事なのは演じないことです」。講師も務める堀川さんは、驚きの発言で迎えてくれた。「演じるんじゃない。なるんだよ」。口角を上げたアルカイックなほほえみ、キレのある身のこなし。ロイヤルブルーのセーターにまで、どこか「ベジータみ」を感じてしまうのは私の先入観ゆえだろうか。

　「まずは基本。５０音を矯正しよう」。教科書を開くとオーサの笑顔が消えた。ぎっしり並んだ５０音表を、母音と子音を意識しつつ、猛烈なスピードで読み上げるのだ。

　清音、濁音、半濁音に、鼻濁音！　オーサの声がどんどん遅れ、舌がもつれていく。「だめ。ついていけない」。見れば耳たぶまで真っ赤だ。

　それでも彼女は頑張った！正しく発音する基礎レッスンに懸命に食らいつき、映像を見ながら台詞をいう、アフレコ実習にたどりついた。

　教材は人気アニメ「あめこん！！」。ハワイにいる「望（のぞむ）」と、日本の仲間たちが電話で話す場面だ。右も左もわからぬオーサと私は別の班に分けられ、オーサは仲間の１人「涼太」、私は望の弟「碧（あおい）」を演じることになった。

　先行は私の班。台本を見ていては画面の動きに遅れてしまう。「会話の流れを覚え、役の心になって」と堀川さん。もちろん無理だ、でも楽しい！　繰り返すうち、台詞に少しずつ「碧」の心を感じ、彼が大好きになっていた。

　次はオーサの班。見たことないほど緊張した顔で、ぎくしゃくと画面に向かい合う。台詞の出が遅れた、でも追いついた！　だがまだ「涼太」じゃない、１００％オーサだ。

　「相手の台詞に反応して、台本に書かれていない感情を読み取って」。堀川さんの指導が入る。オーサも真剣な表情でうなずくが、なかなか「涼太」は出てこない。他の生徒らはと見れば、短時間で自分なりのキャラクターを作り上げてのびのび演じ、楽しそう。「ベジータ」の指導、恐るべし！　学びの力を痛感し、私たちの体験は終わった。

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　帰路、へこむオーサを励ますうち、「下手でも好きなアニメに友人同士で声をあてるのは楽しいよね」との話に。「カラオケみたいにアニメの吹き替えボックスを作れば、はやるんじゃない？」と私。オーサの瞳もきらりと輝く。「ビッグビジネス、ですね」

　野望に目覚めた私たちの頭上に、冬の月は優しく輝く。そして翌朝、「吹き替えカラオケ」はとっくに事業化されていることが、明らかとなるのだった。