新津波想定、岩手県だけ非公表　地元市長らの要請を受け [282165794]

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津波浸水想定、岩手だけ非公表　沿岸市長「不安与える」
2020年4月21日 21時44分

北海道から東北北部の太平洋沖でマグニチュード9以上の地震が起きたら――。内閣府の有識者検討会は21日、そんな想定に基づく最大津波高の推計結果を公表した。
だが、東日本大震災を上回る津波が予測される岩手県については、浸水想定図が明らかにされなかった。自治体の反発を受けてだったが、識者や住民からは疑問の声も出ている。

「住民に不安を与えかねない」

　津波高想定が公表される1週間前の14日、岩手県庁に宮古、久慈、釜石の沿岸3市長が集まった。「公表しないよう内閣府に伝えてほしい」。津波高が最大29・7メートルとされた宮古市の山本正徳市長が県幹部に訴えた。
「復興事業が仕上げの段階にあり、公表されると住民に不安を与えかねない」。首長の要望を受け、県はこの日に非公表を国に要請。その後、国は岩手県の浸水想定図の非公表を決めた。

　想定される各地の最大津波高は、岩泉町26・6メートル、田野畑村20・9メートル、洋野町19・9メートルなど。県北部の一部は東日本大震災以上の高さの津波となった。
日本海溝・千島海溝沿いの巨大津波は300～400年に1度起きるとされ、津波の発生が「切迫している状況にある」と有識者検討会は警鐘を鳴らす。
内閣府は「なるべく早く県と連携、調整して住民の不安がないような公表の仕方を検討したい」と説明する。

　今回の津波高は最悪の事態を想定するため、東日本大震災後にできた防潮堤がすべて壊れる前提で算出された。
「防潮堤が全部壊れる前提は市民に不安を与えるだけ。震災後の対策が『役に立たない投資』と評価されてしまう」。16・0メートルの津波高とされた久慈市の遠藤譲一市長は憤る。

https://digital.asahi.com/articles/ASN4P6TNFN4NUTIL032.html

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