ワッ　->　ギャ　->　ガー　->　ギャー [452033146]

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気負わずに、軽やかに　「引っ越し大名！」に主演、星野源

ミュージシャンや文筆家の顔も持つ彼が、初めて時代劇映画で主役を張った。ただ、大立ち回りで見せる、勇ましい剣豪ではない。書庫にこもって本の世界に入り浸る「文系」の侍、片桐春之介の役だ。

　時代劇とあって、オファーを受けた際はそれなりに身構えたという。「松竹映画であれば、京都の太秦で撮ることになるでしょうし、独特のルールもあるんだろうと思った」。だが、原作者でもある土橋章宏が書いた脚本の独特の表現が目にとまり、肩の荷がすっと下りたらしい。

　「偉い侍たちが驚くセリフに『ギャー』とカタカナで書いてあったんです（笑）。時代劇に似つかわしくないですよね？　今までにない作品をやろうとされているのだと感じましたし、重厚な衣装を着て大変な撮影にもなる時代劇の印象とのギャップにワクワクさせられました」

　事実、今作は軽やかさが魅力の一つだ。江戸時代に、播磨姫路から豊後日田への国ごとの引っ越し「国替え」の責任者を命じられた、下級武士・春之介の奮闘ぶりを笑いを交えながら描く人情喜劇なのだ。

　演出した犬童一心監督が星野について、「フランキー堺を想起させる」と評しているが、なるほど、両者には小市民を演じさせたら抜群という共通点がある。フランキーと言えば、喜劇を十八番としながらも、シリアスな芝居もうまい名優だ。ジャズドラマーでもある。

　最も好きな和製ミュージカルがフランキー堺主演の「君も出世ができる」（１９６４年）だという星野は、犬童監督の言葉に喜びを隠さない。「かっこいいばかりでなく、挫折や悲哀も醸し出すフランキーさんは好きな俳優。そんな人と重なると言われるのはうれしいことですね」

　大ヒットドラマに出演し、歌手としても国民的人気を誇る。しかし片方に比重を置くことは考えていない。「中学１年から音楽も演劇も同時に始め、２５年以上ずっと両方をやっているので、どちらが中心というのはない。それが普通なんです」。６年ぶりの映画主演で力が入っているのかと思いきや、そんなことはない。気負わない姿勢こそが彼の魅力なのだ。

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　ほしの・げん　１９８１年、埼玉県出身。２０１３年の初主演映画「箱入り息子の恋」などで受賞多数。１６年の出演ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」とともに主題歌として歌った「恋」が社会現象を起こすヒットに。「引っ越し大名！」は３０日公開。

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