経団連「デフレ脱却には消費者が値上げを容認する必要がある」 [256556981]

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経団連の大橋副会長　春闘「デフレ脱却に値上げ容認も必要」

令和５年春闘の労使交渉が本格的に始まった。急激な物価上昇を上回る賃金引き上げを実現できるかが焦点となる。春闘の経営側の指針「経営労働政策特別委員会（経労委）報告」をまとめた経団連の大橋徹二副会長（コマツ会長）に聞いた。

－－５年春闘にどう臨む

「賃金上昇のモメンタム（勢い）の維持が重要となる。物価を特に重要な要素とし、人への投資も含めて企業が行動を変えていく機会になるだろう。デフレマインドからの脱却には、モノやサービス価格の適正な値上げを消費者が容認する雰囲気作りも大事だ」

－－ベースアップ（ベア）の前向きな検討を会員企業に呼び掛ける理由は

「日本の賃金レベルが海外よりも低くなる中で、消費者物価が約３０年ぶりの水準に上がり、踏み込んだ言い方をすべきだと判断した。継続的な賃上げのためには労働生産性の改善や労働移動、エンゲージメント（組織や仕事に貢献する意欲）の向上が重要になる」

－－非正規（有期）雇用者の正社員化をどう考える

「有期雇用の９割弱はライフスタイルに合わせた働き方を望みながら、社会保険などの条件が変わる「年収１３０万円の壁」などがなければ、もう少し働きたい人が多く、存分に働いてもらえる仕組みが大事だ。不本意ながら有期雇用で働く約１割の人に、企業はフルタイム化の機会を作り続けなければいけない」

－－賃金の低迷が続いてきた

「かつて１４～１６％だった有期雇用者の比率が今では約４割に上がり、年間総収入の差から全体の賃金水準を下げた面がある。労働時間の落ち込みを補う自動化や無人化といった生産性の向上は工場では行ってきたが、オフィスとかサービス業では進まなかったかもしれない。経営陣の価格転嫁への対応がおとなしかったことも背景にある」

－－円滑な労働移動を実現するための課題は

「一人一人が主体的にキャリア形成を考えて労働移動をすることで、新しい価値が生まれる。戦後から続く新卒の一括採用の良い面は多く、例えば他の先進国よりも若年者の失業率は非常に低い。一方で、今のように社会構造が変わる中で会社も変化すべきときは経験者や外国人の採用、通年採用も必要になる。『労働移動で面白いことにチャレンジしているな』という雰囲気をつくるのも大事だ」
https://news.yahoo.co.jp/articles/9b1184e4dba4f29c19cec497be4a9155f5c511e7