釈迦牟尼（仏陀）※釈尊 <= 結局こいつの主張をひとことで言うとなんなの？ [377482965]

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ここにしかない原典最新研究による　本当の仏教　第5巻　鈴木隆泰著：中外日報
https://www.chugainippoh.co.jp/article/kanren/books/20230512-003.html

インド哲学を専攻する著者が様々な思い込みを正してくれる。例えば「出家者は世俗の事柄に距離を置くものと思われがちだが釈尊自身が社会的問題に関与していた」「釈尊が無量の寿命を有するという観念は大乗経典で作られたのではなく初期仏典にさかのぼれる」――。経典の原文が丁寧に語釈され、驚きと共に興味深く読み進むことができる。

本書では紙数の多くが『涅槃経』に割かれ、衰滅しないための「七不退法」、先祖供養、真の宗教者とは、といった教えと共に、釈尊の無明についても経典の解釈を示してくれる。悟りを得た釈尊に煩悩などなかったと考えてしまうが、「無明の滅」の滅（原語ニローダ）は制御の意で消えるのではないという。「成道後も無明はどこまでも釈尊につきまとい（中略）自らの中に潜む無明が悪さをしようとするたびにその動きを察知し、無明を抑え込み続けたのです」と説明する。

『布喩経』から水行の意義も解説される。初期仏典には、宗教的心身浄化儀礼としての水行に否定的な記述も見られる。ただそれは水行だけをよしとする態度に対してであり、問われるのは「無上菩提を目指すものとなっているか否かの一点」「私たちは仏教とは本来なんなのかを、もう一度自らに問い返してみる必要がある」と述べている。

定価2640円、興山舎（電話03・5402・6601）刊。