NASA「助けて！小惑星から持ち帰ったカプセルの蓋が開かないの！！」 [231882153]

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NASAが小惑星ベンヌから持ち帰ったサンプルの多くは「フタが開かない」せいで取り出せない状態になっている

NASAの宇宙探査機「OSIRIS-REx(オサイリス・レックス)」が2020年に地球近傍小惑星のベンヌから採取したサンプルを封入したカプセルは、現地時間の2023年9月24日に地球に投下されてNASAによって回収されました。
このカプセルからはすでにある程度のサンプルが取り出されているものの、その多くは「サンプルが入った容器のフタが開かない」せいで取り出せない状態となっているとNASAが報告しました。

オサイリス・レックスは「アメリカ版はやぶさ」とも呼ばれる宇宙探査機であり、小惑星ベンヌからのサンプルリターンを目的として開発されました。
2018年にベンヌの公転軌道へ入ったオサイリス・レックスは、2020年にベンヌ表面からサンプルを採取することに成功。2023年9月24日にサンプルの入ったカプセルを地球へ投下し、NASAは無事にカプセルを回収しました。

ベンヌからのサンプル採取には「Touch-and-Go Sample Acquisition Mechanism(TAGSAM)」という、オサイリス・レックスのロボットアームの先端に取り付けられた装置が用いられました。
オサイリス・レックスがロボットアームを伸ばし、TAGSAMがベンヌの表面に接触したタイミングで窒素ガスを噴射し、舞い上がった物質をコンテナ内部にとらえるという仕組みです。

今回のミッションでは合計60gのサンプル採取が目標とされていましたが、窒素ガスの噴出により舞い上がった物質が予想以上に多かったため、回収されたサンプルは推定250gに達するとのこと。
カプセルは汚染を防ぐために不活性ガスである窒素を吹き込む窒素パージが行われており、サンプル回収の際は汚染を最小限に抑えるためにグローブボックスを使用する必要があります。

ところがNASAは10月20日のブログで、TAGSAMのサンプラーヘッドにある35個の留め具のうち2個が、オサイリス・レックスのグローブボックスで使用が承認されている工具で取り外せないことがわかったと報告しました。

すでに、サンプラーヘッドの外側に付着していた分や、サンプラーヘッドの隙間から差し込んだピンセットやスコープを用いて取り出したものを合計すると、当初の目標を上回る70.3gのサンプル回収に成功しているとのこと。
しかし、半分以上のサンプルはいまだにサンプラーヘッドの内部に取り残されているため、NASAは残りのサンプルを回収する新しい手順の開発を進める計画です。

NASAはオサイリス・レックスが持ち帰ったベンヌのサンプルのうち、25％を異なる研究施設に所属する200人以上の研究者に、4％をカナダ宇宙庁に、0.5％をJAXAに提供するとしています。

なお、すでにカプセルから採取されているサンプルを分析したところ、炭素や水分子を含む有機物、硫化鉄や酸化鉄といった化合物などが豊富に含まれていることが判明しています。

https://gigazine.net/news/20231026-nasa-bennu-asteroid-sample-locked-out/
https://i.gzn.jp/img/2023/10/26/nasa-bennu-asteroid-sample-locked-out/00.jpg