【悲報】朝日新聞、Twitterのポスト並みの感想文を記事にしてしまう。晋さんどうして… [234233522]

ブリ (ﾜｯﾁｮｲW 2d9e-inu6)

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冬の日、息子を温めた1杯のココア　記者が考えた「社会で育てる」

　雨はいつの間にか、みぞれに変わっていた。そんな寒い夕方だった。2016年2月、福岡の職場の電話が鳴った。

　取ると、男性が話し出した。「不動産屋の者です。息子さんが道で泣いていまして、お母さんが朝日新聞にいるということで電話しました。寒くて疲れて学童まで歩けないようです」。当時小学1年生。学校が終わると、子どもの足で20分ほどかかる学童に通わせていた。

　ど、どうしよう、まだ出せていない原稿がある……。ワンオペで頼れる人もいない。受話器を手に何度もお礼を述べた後、「あとちょっとなので歩かせてください」と伝えた。

　その後、今度は携帯が鳴った。落ち着いた声の女性が出た。「疲れているみたいなので、お母さんのお仕事が終わるまで、近くのスタバで過ごさせましょうか。ココアは飲ませても大丈夫ですか」

　後で息子に聞いたところ、不動産屋の男性が学童に向かって一緒に歩いてくれた。でも、やっぱり寒い、疲れた、もう歩けない――。涙がこぼれて立ち止まった時、女性が息子に声をかけた。

　何かあった時のため、息子には私の携帯番号を覚えさせていた。彼女も仕事中とのことで、店員さんに言付けして離れるという。かつてない速さで原稿を仕上げ、地下鉄に飛び乗った。スタバに入ると、店内をきょろきょろと見渡す私の姿に気がついたのだろう、店員さんが「あちらですよ」と笑顔で教えてくれた。奥の窓際の席で、黄色い校帽をかぶった息子が1人、ココアをすすっていた。

　「見知らぬ人についていかない」「声をかけられても応じない」と、学校でも家庭でも教えられている。防犯の面では確かにそうだ。でもあの時、私も息子も見知らぬ人に助けられた。

　「社会で子どもを育てる」との言葉を当時からよく聞いた。子ども関連の予算を増やす、困難な状況の子どもの支援体制を整える――。「国が」「行政が」といった「大きな主語」ではそういうことだろう。一方で、一人の市民として考えた時、「社会で育てる」とは何なのかとぼんやり考えていた。福岡の大人の姿に、一つの答えを得た思いだった。

　先日、息子とスタバに行く機会があった。「ココア、懐かしいね」と言うと、「思い出すね」と返ってきた。

　あの時お世話になった皆さんに伝えたい。ありがとうございました。小学1年生だった息子はこの春、中学校を卒業します。（山下知子）

https://www.asahi.com/articles/ASS3W2T13S3LUTIL01B.html