存在感増す「イスラム国ロシア支部」モスクワテロで正式な犯行声明 [902666507]

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ロシアで活動するIS系が犯行声明

　しかし、ISは3月23日、カフカス県でもホラサン州でもなく、「ロシア」名義でアラビア語による犯行声明を出したのである。ISは犯行声明を、支部ごとに出すのが一般的だ。例えば「イラク州」とか「シャーム（シリア）州」という具合に、「州」に相当するアラビア語の「ウィラーヤ」をつける。だが、ISは「ロシア」を「州」として認めていないので、単に「ロシア」という表記になっている。

　ただし、こうしたケースはロシアに限らず、しばしば見られるもので、ISが「ロシア」名義で犯行声明を出すのはこれが初めてではない。

以下は3月22日の事件に関するISの公式犯行声明の邦訳である。

ロシアにおけるカリフ国家の兵士たちによる作戦で
ロシアのキリスト教徒数百人が死傷

ロシア：1445年ラマダーン月13日（土）

　いと高きアッラーのご加護により、カリフ国家の4人の特攻隊員が昨日、首都モスクワのクラスノゴロスク市のイベント・ホール内の不信仰者キリスト教徒の集まりに向かっていった。彼らは、ホールに突入し、機関銃とナイフでキリスト教徒を標的にしたほか、ホール内部に焼夷（しょうい）弾で火をつけ、少なくとも300人を死傷させ、同所の3分の2を炎上させた。アッラーに称賛と感謝あれ。十字軍のロシアとその同盟者たちに、ムジャーヒド（編集部注：ジハード戦士）たちが報復を忘れていないことを知らしめよう。

まず、「カリフ国」とはISの別称である。また、事件の起きたのが、イスラーム（以下、イスラム教）で最も重要な月の1つ「ラマダーン（以下、ラマダン）月」であったことは注目してよい。ISは宗教心が高揚するこの時期に異教徒を攻撃するよう呼びかけるのが常であり、これまでも、呼びかけに応じた事件が多数発生している。

さらに、ここで「特攻隊員」と訳したアラビア語「インギマーシー」は、「突っ込む」「飛び込む」という意味の動詞から派生した表現だ。アラビア語で「イスティシュハーディー」と呼ばれる「自爆テロリスト」（通常「殉教志願者」と訳される）とは若干、意味が異なる。後者が標的とともに自爆することを前提としているのに対し、「インギマーシー」は銃を乱射したり、ナイフを振り回したりして、できる限り多くの人を殺害しようとする。最終的に殺されることもあれば、逃げ延びることもある（したがって「決死隊」と訳す場合もある）。

以下略
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00023/032600417/